071872 ランダム
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BONDS~絆~

BONDS~絆~

別れ

ハート(白)

翌日学校に行くと菘は普通に来てた。
「菘!お前昨日何してたんだよ!」
「…色々な」
「全く…楓からメール来たか?」
「あぁ」
「そうか、なら良いんだ」
「お前本当にいいのか?」
「…楓の気持ちもわかったし俺は答えを聞けただけで充分だからお前はお前の本当の気持ち伝えろよ。俺に気なんて絶対に使うな」
「わかった。お前変わったな」
「そうか?」
「あぁ、男らしくなった」
「前からだよ」
「よく言うぜ」
「はは」
久しぶりに男同士に話して笑った気がした。明日楓は旅立つ。
放課後、マフラー・コート・手袋と完全防備でメールを打ちながら俺に「じゃあな」と言い公園へ向かう菘に会った。幸せになれよと心底思った。
その日の夜、楓からメールが来た。
-明日は貴方達が学校へ行っている間旅立つのでメールで挨拶します。御免ね。菘と想い合いました。何もかも貴方のおかげだね。ありがとう。そしてまたしばらくの間さようなら。貴方にも彼女が出来ること祈っています。世界携帯だから出来たら教えてね★あの日菘が学校に休んだのはロンドン行きのチケットを買おうと空港に行ってたからなんですって。でも日本で待つ方がいいのかなって自分で判断したらしいわ。私もそうして欲しかったから良かった。本当に色々ありがとうね、それじゃまたね-
俺はメールを返すべきか否か迷った。結局返さなかった。返したら俺は引き留めてしまうだろうから。楓から来たメールを何度も読み返し涙が出そうだった。菘はどんなメールを貰ったんだろう。蒲団に入る時、メールのことを思い出して心底良かったと思った。楓…幸せになれて良かった。本当に…。
翌日俺は朝早く起こされた。
「起きろ。見送りに行くぞ」
菘が俺の部屋にいて少し息をキラしている様子だった。
「早いな…まだだろ?俺らが学校行っている間って…」
「本当のことあいつが言うと思うか?」
「…確かに。」
俺はすぐに準備をして髪を治す暇もないくらい急いだ。空港へ向かうタクシーの中で菘が独り言をぼやいた。「俺…あいつに言った。好きだって。俺もお前がずっと好きだったって…なのに何で行く時間教えてくれなかったんだよ!」空港でざわめいている中俺らは手分けをして楓を探すことにした。するとアナウンスがロンドン行きの飛行機がまもなく出発すると告げた。ヤバイ!この声を菘も聞いたらしく走って俺の所に来た。
「もう飛行機の中かもしれない」
「諦めるなよ!見送りに行くっていったのお前なんだから!」
「そうだよな…とりあえず…」
そのときだった。
「二人とも何しているの?」
「…楓!?」
「どうしたの?こんな朝早くに……」
「お前こそもうロンドン行き出るぞ?」
「あれには乗らないよ。早すぎるじゃない。貴方と愛しあえた土地をそんなに早く去りたくないわ」
「楓…」
二人とも俺の存在を忘れていたが、二人が幸せになれたという確信の姿が見れて良かった。
「二人ともありがとう。でも学校にまじめに行ってね?特に貴方は!」
俺の方を指さした。
「二人ともどうせ単位悪いんでしょ?留年なんかしたら承知しませんからね」
先生より厳しい姿だった。



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